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ベークライトの強度と吸水性とは?工業用途で失敗しないための評価ポイント

ベークライトの強度吸水性について調べている方の多くは、
「機械的にどこまで耐えられる材料なのか」
「水分を吸うことで性能が落ちるのではないか」
といった実務的な不安を感じているはずです。
ベークライトは古くから使われてきた材料ですが、
その評価は決して過去のものではなく、現在でも用途次第では不可欠な存在です。
本記事では、ベークライトの強度特性と吸水性の実態を軸に、
工業用途で正しく評価・選定するための考え方を体系的に解説します。

ベークライトとは何かを強度・吸水性の視点で整理する

ベークライトはフェノール樹脂を基材とする熱硬化性樹脂です。
紙・布・ガラス繊維などの基材にフェノール樹脂を含浸させ、高温高圧で硬化させることで作られます。
この製法により、ベークライトは一度硬化すると再溶融しないという特性を持ちます。

この特性は、強度や吸水性の評価に直結します。
熱可塑性樹脂のように温度上昇で軟化することがなく、
寸法変化やクリープが起こりにくい一方で、
内部構造が硬く脆いため衝撃に弱いという側面も併せ持っています。

ベークライトの強度特性を正しく理解する

圧縮強度・曲げ強度が高く評価される理由

ベークライトは圧縮強度曲げ強度に優れる材料です。
これは、フェノール樹脂が硬化した三次元網目構造を持ち、
外力に対して形状を維持しやすいためです。

例えば、スペーサーや支持板、ボルト締結部の座金用途など、
常に圧力がかかる部品では、樹脂でありながら金属に近い安定性を発揮します。
この点は、ベークライトが工業用途で長く使われてきた大きな理由の一つです。

引張強度・衝撃強度が低い理由

一方で、ベークライトは引張強度や衝撃強度には弱点があります。
硬く脆い性質を持つため、急激な荷重や衝撃が加わると、
割れや欠けが発生しやすい傾向があります。

このため、落下衝撃が想定される部品や、
振動・衝突が繰り返される用途には不向きです。
こうした用途では、POMやナイロンなどのエンジニアリングプラスチックが選定されることが一般的です。

ベークライトの吸水性はどの程度問題になるのか

ベークライトが吸水する理由

ベークライトは吸水性を持つ材料です。
これは、基材として使用される紙や布繊維が水分を吸いやすい構造を持つためです。
樹脂自体は比較的耐水性がありますが、
複合材料である以上、吸水を完全に防ぐことはできません。

吸水率の目安と実務への影響

一般的な紙基材ベークライトの吸水率は、
条件にもよりますが1〜3%程度とされています。
この吸水により、以下のような影響が発生する可能性があります。

  • 寸法のわずかな膨張
  • 電気絶縁性の低下
  • 長期使用時の強度低下

特に精度が求められる部品では、
吸水による寸法変化が問題になることがあります。

吸水性と強度の関係をどう評価すべきか

重要なのは、「ベークライトは吸水するから使えない」と判断しないことです。
実際の工業用途では、

  • 使用環境が屋内か屋外か
  • 水や湿気に常時さらされるか
  • 要求される寸法精度のレベル

といった条件によって評価は大きく変わります。
例えば、乾燥環境下の電気絶縁部品では、
吸水性はほとんど問題にならず、
強度と耐熱性の安定性が高く評価されます。

他材料との比較で見るベークライトの立ち位置

エンジニアリングプラスチックとの比較

エンジニアリングプラスチックは吸水性が低く、
衝撃にも強い材料が多いですが、
高温下ではクリープ変形が避けられません。

ベークライトは吸水性という弱点を持つ一方で、
高温下での寸法安定性において明確な強みを持っています。
このため、「温度」と「精度」を重視する用途では、
今なお選定される理由があります。

金属材料との比較

金属は強度に優れますが、
電気絶縁性がなく、重量増や腐食といった課題があります。
ベークライトは絶縁性と軽量性を両立できる点で、
金属の代替材料として重要な役割を果たしています。

ベークライト選定で失敗しやすいポイント

  • 衝撃荷重を想定せずに使用する
  • 吸水環境下での寸法変化を考慮しない
  • 加工時の欠けや割れ対策を行わない

ベークライトは万能材料ではありませんが、
特性を理解した上で使えば、
他材料では代替できない価値を発揮します。

よくある質問

ベークライトの強度は金属やエンジニアリングプラスチックと比べてどの程度ですか?
ベークライトは圧縮強度や曲げ強度に優れており、荷重を受け続ける用途では安定した性能を発揮します。一方で引張強度や衝撃強度は低く、金属やエンジニアリングプラスチックのような粘り強さはありません。そのため、力のかかり方を見極めて使うことが重要です。
ベークライトの吸水性は実際の工業用途で問題になりますか?
ベークライトは紙や布を基材とするため、1〜3%程度の吸水性があります。ただし、乾燥した屋内環境や短期間使用では大きな問題にならないケースが多く、常時水分にさらされる環境や高精度部品でなければ実務上支障が出にくい材料です。
吸水によってベークライトの強度はどのように変化しますか?
吸水するとわずかな寸法膨張や電気絶縁性の低下が起こり、長期的には強度低下につながる可能性があります。ただし、急激に破壊されるわけではなく、使用環境を管理すれば圧縮や曲げに対する基本的な強度特性は維持されやすいのが特徴です。

まとめ:ベークライトの強度と吸水性は「使い方」で評価が決まる

ベークライトの強度は圧縮・曲げに強く、
吸水性はあるものの用途を選べば大きな問題にはなりません。
重要なのは、使用環境と求める性能を整理し、
材料特性と正しく照らし合わせることです。
ベークライトは今もなお、
工業用途で確かな役割を果たし続けている材料だと言えるでしょう。