「なぜ今も古い材料が使われ続けているのか」「樹脂やエンプラでは代替できない理由は何か」
といった疑問を持っているはずです。
ベークライトは世界初の合成樹脂として誕生してから100年以上経過していますが、
現在でも電気・機械・産業分野で確かな役割を担っています。
本記事では、ベークライトの基本特性から工業用途で評価される理由、
他材料との違い、選定時の注意点までを体系的に解説します。
ベークライトとは何かを工業材料の視点で理解する
ベークライトとは、フェノール樹脂を基材とした熱硬化性樹脂の一種です。
正式にはフェノール樹脂積層板として分類され、
紙・布・ガラス繊維などの基材にフェノール樹脂を含浸・硬化させて作られます。
最大の特徴は、一度硬化すると再加熱しても溶けない点にあります。
この「再成形できない」という性質は一見デメリットに見えますが、
工業用途では耐熱性・寸法安定性・電気絶縁性という形で大きなメリットになります。
ベークライトの特性が工業用途で評価される理由
高い耐熱性と熱変形の少なさ
ベークライトは連続使用温度が約120〜160℃とされ、
汎用樹脂と比べて高温環境でも安定した性能を維持します。
特に重要なのは、高温下でも軟化やクリープ変形が起こりにくい点です。
熱硬化性樹脂であるため、温度上昇によって急激に剛性が低下することがなく、
機械部品や電気部品の支持材として信頼性の高い材料とされています。
電気絶縁性に優れる理由
ベークライトは古くから電気絶縁材料として使用されてきました。
誘電率が低く、耐トラッキング性にも優れるため、
高電圧・高温環境でも安定した絶縁性能を発揮します。
機械的強度と寸法安定性
ベークライトは衝撃に対しては脆い面があるものの、
圧縮強度・曲げ強度に優れ、寸法変化が極めて小さい材料です。
そのため、ボルト締結部や位置決め部品など、
精度が求められる箇所で重宝されています。
代表的なベークライトの物性データ
| 項目 | 代表値 | 工業用途での意味 |
|---|---|---|
| 連続使用温度 | 120〜160℃ | 高温環境での安定使用 |
| 電気絶縁性 | 非常に高い | 電装部品の安全性確保 |
| 寸法安定性 | 優秀 | 精密部品への適性 |
| 耐薬品性 | 良好(酸・油) | 工業環境での耐久性 |
ベークライトの主な工業用途
電気・電子分野
配電盤、絶縁板、端子台など、
電気的安全性が最優先される部品では、
現在でもベークライトが選定されるケースがあります。
産業機械・装置部品
ギア、スペーサー、摺動部材など、
金属では電気的・熱的に問題がある箇所で使用されます。
特に熱と圧力が同時にかかる環境では、
熱可塑性樹脂より信頼性が高いと評価されます。
治具・固定具用途
加工治具や検査治具では、
繰り返し使用時の寸法変化が問題になります。
ベークライトは温度変化による膨張が少なく、
長期安定性を重視する用途で採用されます。
他材料との比較で分かるベークライトの立ち位置
エンジニアリングプラスチックとの違い
ポリカーボネートやPOMなどのエンプラは加工性に優れますが、
高温下では徐々に変形やクリープが発生します。
金属材料との比較
金属は強度に優れる一方で、
電気絶縁性がなく、重量増や腐食リスクがあります。
ベークライトは「金属では不都合、樹脂では不足」
という中間領域を埋める材料です。
ベークライト選定で失敗しやすいポイント
- 衝撃荷重がかかる用途に使用してしまう
- 切削加工時の欠け・割れを考慮していない
- 外観品質を過度に求めてしまう
よくある質問
まとめ:ベークライトは今も工業用途で生き続ける材料
ベークライトの特性は、
耐熱性・電気絶縁性・寸法安定性という
工業用途で本質的に求められる性能に直結しています。
加工性や見た目では最新樹脂に劣る部分もありますが、
「長期安定」「安全性」「信頼性」を重視する場面では、
今なお代替しにくい材料です。
用途と環境を正しく整理することが、
ベークライトを最大限活かす材料選定につながります。









