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ポリアセタールとは何か?特徴・用途・加工方法まで徹底解説

ポリアセタールとは何か?特徴・用途・加工方法まで徹底解説

「ポリアセタールとは」と検索するユーザーは、材質の基本情報や特性、どのような用途で使用されるのか知りたいと考えています。本記事では、ポリアセタール(POM)の基本構造、物性、加工性、日常・工業での用途まで詳しく解説し、樹脂加工の専門的観点から長期使用のポイントも紹介します。

ポリアセタールの基本情報

ポリアセタールは、高結晶性の熱可塑性樹脂で、略称はPOM(Polyoxymethylene)です。機械的強度、耐摩耗性、耐薬品性に優れ、摩擦がかかる部品に適した素材です。耐熱性が高く、寸法安定性も良好なため、精密部品や歯車、スライド部品に幅広く使用されています。

化学構造と特性

POMはメチレン基(-CH2-)が連続する高分子構造を持ち、分子鎖が規則正しく配列して結晶化しています。この結晶性により、高い剛性、耐摩耗性、耐疲労性が発現します。熱や薬品による変形が少なく、長期使用でも寸法精度が維持できる特徴があります。

物性の特徴

  • 引張強度:約60〜70MPa
  • 耐摩耗性:優れる
  • 耐薬品性:アルカリ・油・有機溶剤に強い
  • 耐熱性:120℃程度まで使用可能
  • 吸水率:低く寸法安定性に優れる

ポリアセタールの種類と違い

POMには、ホモポリマータイプとコポリマータイプがあります。それぞれ特性が異なるため、用途に応じた選択が重要です。

ホモポリマータイプ

ホモポリマーは純粋なポリオキシメチレンで、結晶性が高く機械的強度が優れています。ただし、耐熱性に制限があり、酸や塩素系薬品には弱い傾向があります。主に高強度部品や歯車、精密スライド部品に使用されます。

コポリマータイプ

コポリマーは架橋構造を持つことで、耐熱性や耐薬品性が向上しています。耐熱・耐薬品用途の部品、例えば水回り部品や化学装置の部品に適しています。衝撃強度も高く、破損しにくい点が特徴です。

ポリアセタールの加工性

ポリアセタールは切削加工性に優れ、旋盤加工、フライス加工、ドリル加工などが容易です。加工面の仕上がりが滑らかで、寸法精度も出やすいため、精密機械部品の製作に適しています。

切削加工のポイント

  • 切削速度は中速が基本
  • 切削油は水溶性切削液か軽油を使用
  • 刃物は高速度鋼(HSS)や超硬合金を推奨
  • 切削時のバリ取りや研磨は仕上げ精度向上に必須

成形加工との違い

POMは射出成形や押出成形も可能です。射出成形では寸法精度や表面仕上げが良好ですが、収縮率を考慮した設計が必要です。加工技術の選定は、部品の精度・量産規模・コストに応じて最適化されます。

ポリアセタールの用途例

耐摩耗性・耐薬品性・寸法安定性に優れるため、幅広い分野で利用されています。以下は代表的な用途です。

精密機械部品

歯車、スライドブッシュ、ベアリング、カム部品などに使用されます。摩擦がかかる部分でも摩耗しにくく、長期使用に耐えます。

日用品・家庭用品

衣類用ハンガー、ファスナー、電化製品の部品などに利用されます。耐熱性や強度が必要な用途に適しています。

工業・化学装置部品

バルブ部品、ポンプ部品、化学薬品に触れる装置の部品などで使用されます。耐薬品性と耐熱性が求められる環境で活躍します。

ポリアセタールを長持ちさせるポイント

ポリアセタールの性能を最大限発揮するには、保管・使用条件を工夫することが重要です。適切に管理すれば、長期間にわたり性能を維持できます。

保管環境の工夫

  • 直射日光や高温多湿を避ける
  • 化学薬品や油分に直接触れないようにする
  • 通気性の良い場所で保管

使用時の注意点

摩耗が激しい用途では、潤滑や摩擦管理を適切に行うことが重要です。耐熱限界を超える環境では変形や劣化が起こるため、適切な温度で使用することが望ましいです。

まとめ

  • ポリアセタール(POM)は高結晶性樹脂で、強度・耐摩耗性・耐薬品性に優れる。
  • ホモポリマーとコポリマーの種類があり、用途に応じた選択が必要。
  • 加工性が良く、旋盤・フライス・射出成形などに対応可能。
  • 精密機械部品、日用品、工業装置部品など幅広い用途で使用される。
  • 保管環境や使用条件に注意することで長期使用が可能。

よくある質問(FAQ)

Q1: ポリアセタールとはどのような素材ですか?

ポリアセタール(POM)は、高結晶性の熱可塑性樹脂で、耐摩耗性・耐薬品性・寸法安定性に優れた素材です。精密機械部品や日用品、工業部品に広く使用され、加工性も良好です。

Q2: ホモポリマーとコポリマーの違いは何ですか?

ホモポリマーは純粋なPOMで高い強度を持ち、主に高精度部品に使用されます。コポリマーは耐熱性や耐薬品性が向上しており、水回りや化学装置向けの部品に適しています。それぞれ用途に応じて選ぶことが重要です。

Q3: ポリアセタールの加工は難しいですか?

POMは切削加工性が非常に良く、旋盤やフライスで高精度に加工可能です。刃物や切削条件に注意すれば、バリの少ない滑らかな仕上げが可能です。大量生産では射出成形も使用されます。

Q4: 長期使用するための注意点は?

高温や直射日光、化学薬品との接触を避けることが重要です。摩耗や摩擦が生じる部品では潤滑や摩擦管理を行い、耐熱限界を守ることで長期間性能を維持できます。

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